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The story of... Queenie ChanQueenie Chan

Special Interview

お呼びしたゲストとklarm founder KASUMIが、対談を通じて普段はあまり語られないものづくりへの想いやバックグラウンドなどをお届けしていきます。今回のゲストは、香港を拠点に制作活動を行うQueenie Chan(クウィーニー・チャン)。

独創的な世界観と曲線の美しさが特徴的なセラミックブランド、éphēlisを運営するQueenie Chan。

彼女の作品は身体の曲線や自然のありのままの美しさから影響を受けたものが多く、klarmのアイデンティティと通ずるものがあり今回のコラボレーションが実現した。存在感を放ちながらもどの場にも溶け込み、実用性とデザイン性を兼ね備えた唯一無二の作品を完成するまでのエピソードや、彼女自身のアイデンティティに迫る。


ー klarmからのコラボレーションのオファーを受けた時はどんな気持ちでしたか?

Queenie:非常に興味を持ちました。というのも、美容ブランドとのコラボレーションは今まで一度もなかったので、私にとって初めての経験でした。
また、私自身も敏感派で肌に悩んでいる身なので、こだわり抜かれたオーガニック成分だという点や肌にも環境にも優しいものづくりをしている点など、共感できるポイントが沢山ありました。是非一緒にお仕事をしたいと、すぐに回答しましたね。

KASUMI:私は以前からQueenieのファンで、日本で販売開始されることになった瞬間に売り場に出向き、現在では数々のアイテムを愛用しています。初めて連絡をした際は緊張しましたが、Queenieがとても前向きで気さくなお返事をくれました。コラボレーションができることにワクワクと高揚した気持ちを鮮明に覚えています。


ー 今回のコラボレーションの着想はどこから引き出されたものなのでしょうか?

Queenie:klarmのキービジュアルになっている、手が重なる写真がとっても印象的でした。また、ブレンドクレイのボトルラベルに描かれている母と子が抱き合うアイコンを見た時にéphēlisのアイデンティティに近しいものを感じました。

KASUMI:“éphēlis” とは、Queenie自身がかつてコンプレックスに感じていた“そばかす”という意味があり、「固定観念化した美の基準に疑問を投げかける」ことをコンセプトに制作されていると伺いました。

Queenie:はい、そうなんです。私自身はコンプレックスに感じていたそばかすも、ある人から見ればそれはチャームポイントになる。友人たちは、そこが好きだ、と伝えてくれます。以来美しさは物差しでは測れないものであり、人々が感じる“美しさ”には大きな違い生まれることを知りました。美しさを誰が定める権限があるのだろうということをいつも疑問に思っています。私の作品は一人一人がもつ身体の曲線や、自然のありのままの美しさから影響を受けたものが多いです。それは、やはりklarmのアイデンティティと通ずるものがあります。

KASUMI:まさに私はあなたの作品からそんなことを感じていました。
あなたの作品は、自然の豊かさとデザインが融合し、そこに必ずおおらかさがあるんです。一人一人の美しさやそのままの自分への愛、それらを大きく受け入れるあなたという人柄を現しているかのようだとあなたと対話を続けるたびに思います。
私はklarmを通じて、自分自身を認め愛する時間を提供したいと常々考えているんです。私にとって「肌をケアすること」は「自分を愛すること」に繋がりました。その機会を与えてくれたのは母なんです。愛する人を抱きしめるように自分自身を抱きしめてあげてほしくて、その気持ちをクリエイティブにも反映させています。

Queenie:KASUMIのコンプレックスから救ってくれたクレイと、幼い子をハグしている母の姿を思い描き、アイデアを落としこみたいと考えました。
また、私が影響を受けている
Maria Bartuszováいう女性のアーティストの作品を連想したことも覚えています。彼女の作品も女性の曲線美などを大切にしているのですごくリンクしました。きっとKASUMIも理解してくれるだろうと思いました。


KASUMI:彼女も、自然界からインスピレーションを受けて作品に投影していますよね。Queenieのお陰ですっかり私も独創的な彼女の世界観のファンになりました。彼女の作品もそうですが、あなたの作る作品それぞれの “個体差” に私はとても惹かれるんです。個体差は、一番ナチュラルなうまれたままの姿です。今回のklarmとのコラボレーション作品も一つ一つ轆轤で作っていただいているので、個体差がもちろん生まれます。ひとの手で作られているからこそ、持った時にぴったりとフィットしますね。

包み込むとハグしている時の温もりを作品から感じるようで、ずっと愛でていたくなりました。


Queenie:持つ時にフィットすること、これは制作当初からとても意識して取り組んでいた部分です。

KASUMI:klarmを愛用してくださっている方々にもきっとご満足していただけると思います。意図や背景をキャッチしてくださる方が本当に多いんです。はやく皆さんに届けたい!という気持ちが溢れて、今日までソワソワしていましたよ。笑

Queenie's sketch

ー このコラボレーションを経て感じたことは?

Queenie:このプロジェクトは私にとっていい意味で挑戦の数々でした。
というのも、実用性を兼ね備えつつ、デザインに落とし込む作業はかなり難しかったことの一つ。これは時間をかけて改良して仕上げていきました。特に、細かい部分に対するコミュニケーションはいつも簡単ではないなと感じています。
それ以外については、私が普段から作っている作品の要素も存分に取り入れ、かなり自由度の高い環境下での制作出来ています。

KASUMI:実用的な部分に私は特にこだわりを持っていました。パックを作る際に生じる全ての懸念を消した状態で商品化したかったんです。Queenieはそれらを素早くキャッチしてくれて本当に助かりました。klarm bowlは全て曲線で作られているので、クレイがとても掬いやすい。そして滑らかにコーティングされた釉薬のお陰で、混ぜる際に生じやすい不快音も発生しません。釉薬の種類も丁寧にご説明してくださり、理想に近づけていきましたよね。
アシンメトリーでカサが高くなっている部分で、スパチュラについたクレイを削げる所も私はとても気に入っています。
今まで試したどの器よりもクレイが混ぜやすいです。

ー 実際にklarmの商品は使ってみた?

Queenie:お気に入りはNo.1brighteningとNo.0 standard。土を扱う仕事をしているので、クレイで肌をケアするのは元々好きなんです。しかし、過去に私は他社のクレイマスクをし終わった後に痒くなったりすることがありました。klarmのクレイはそのようなこともなく、使うたびにお肌が生き生きとするのが実感できます。とてもお気に入りですよ!

KASUMI:実感していただけて嬉しいです。同じクレイとはいえど、効能は異なりますよね。粘土鉱物は奥深い物体です。クレイを混ぜることと制作過程の粘土を混ぜるという点では、目的は違うだけで繋がっている行為だと恐縮ながら感じていますが、この点についてはあなたはどう感じていますか?

Queenie:粘土を混ぜる時は水を使い最終的には乾かす工程を踏むんでいくのですが、その乾かし方やタイミングが活きていると思います。面白い話ですが、パックの扱いは上手い方だと思います。笑
土はとっても柔軟な素材なので、焼かなければ自由自在に形を変えていくことができます。

klarmのブレンドクレイは粉体からパックを作れるので、自分の好きなテクスチャーに仕上げて作ってみるのも面白かったです。私は自分の肌にハチミツが合っている感覚があり保湿にも優れていると知っていたので、クレイと混ぜて使ってみました。使用感がよく、自分なりに活用して成功した例かなと思います。


ここからはQueenieの活動についてさらに深掘り、伺っていきます。


KASUMI:今までのキャリアパスを改めて教えていただけますか?

Queenie:大学時代、私はロンドンの学校でファッションを専攻し、卒業間際にはインターン生としてジョインしたラグジュアリーブランドでクチュールのジュニアデザイナーとして正式に働くことになり、そこがキャリアの原点でした。
そこでの経験は、私にとってどうやって今のブランドを育てていくのか学びになることがたくさんありました。特に、資源を無駄にしない形で、必要以上にものを生み出さない形というブランド運営のスタイルが出来上がっていきました。
ラグジュアリーブランドは既製品であり、沢山の在庫を抱えて運営していきますがそのような仕組みは環境には優しいとは決して言えません。その為、私の作る作品の包装などはプラスチックの素材などはなるべく使用しないように心がけています。ものによってやはり使用を否めないものがあるので、全て使わないということは難しい現状があります。それは、私だけでなく世の中の商品もプラスチックに頼らないことは全く難しいと思います。

そこで自分が1番良い仕組みだと感じるのは、カスタムメイドして作っていくこと。既製品などの制作過程を見てきたからこそ大きく思考の変化があったと感じます。
より少ない素材で必要なものを、必要な人に作っていく。

KASUMI:ものを生み出す上での葛藤や違和感は、特に私もよく考える点です。必要な適量を、必要な人に届けることを社会全体で実現していくことはとても難しいことですが、決して頭から離してはいけないことだと心に刻んでいます。ものづくりの過程でも、あなたと私は共感することが多くありましたね。実際に私は、無駄をできるだけ省き、資源を最大限に無駄にしないあなたのクリエイションから多くの影響を受けました。

Queenie:今の世の中は、既製品の概念でビシネスが進行しているため、このようなオーダーメイドの概念に関しては自分自身の仕事を通してクライアントに対して物の価値に関しての考え方を伝えていく必要があると感じています。

そして、ものを生み出しているクライアントとの間で、金銭をベースに交渉などがされるかと思います。私の理想は、クチュールのようにオーダーメイド品に価値がつくこと。
例えば、クチュールは一つ一つハンドメイドで仕上げるため、そのもの自体の価値は既製品とは全く違う考え方です。金額のお話しをしたいわけではなく、全てのハンドメイドは世界に一つで貴重なものでありそのものの価値はどれも尊いということを伝えたいです。


ー キャリアパスのシフトチェンジ、ファッションから陶芸アーティストになった理由は?

Queenie:コロナ渦以前までは、Diorのヘッドデザイナー・プロジェクトマネージャーとしてパリで働いていましたが、香港に帰ってきてからは小さなブランドでも働いたりしていました。コロナ渦最中は世の中の景気も落ち、高給取りの仕事に就く人ですら失業の対象になるなど、生活が一変しました。当時、マーケターとして働いていた有能な私の友人数人も失業の対象になりました。
仕事を失くす前までは、陶芸は私にとって趣味の一環でした。
平日は正社員としての仕事をしながら、週末にスタジオにこもって陶芸を楽しんでいました。また、正社員として働いていた時は陶芸とは別のことにも興味があって、海外の学校に留学に行こうかと学業への関心も高まっていましたが、幸運なことに仕事を失ってからすぐに陶芸作品への大型注文をいただいたんです。

実はその際に別の仕事に就く目処も立っていましたが、注文が入ったことで仕事として取り組む決心がつきました。現在は友達と共にアトリエを借りて作品制作に集中できる環境を整えています。



ー ファッション業界で働いていた頃と現在では、どのような精神的な変化がありましたか?

Queenie:ラグジュアリーブランドでプロダクトマネージャーとして働いていた時は、とにかくこなすことが求められる。ひたすら人の為にジャッジメントを下し、物事を進行させていく局面がほとんどです。
今は自分の為に働くことを選んだので、自分自身がボスでなくてはなりません。決断を自分の為に繰り返していく連続です。何が1番自分にとって心地いいのか、自分が1番理解していると思います。

KASUMI:Queenieは一切妥協をせず私たちからのリクエストや想いを汲み取り、対処してくれます。そんな部分も今までの経験値と責任感から湧き出るものなんでしょうね。

Queenie:働きすぎてしまうという環境を生み出しやすい恐怖はありますが、プロジェクトの参加の有無も自分で決められますし、そのプロジェクトからどんな学びが得られるかなど、自分の成長も加味して決定できる自由さや楽しさがあると思います。自分で選ぶ権利があって、選択していくことに心地よさも感じています。


ー 陶芸家としての今後の目標などはありますか?

Queenie:現在陶芸家として活動して、3年目になるんです。

KASUMI:活動期間もklarmと同じくらいなんですよね。常にオファーも耐えないQueenieの今後のビジョンなどもお伺いしてもいいですか?

Queenie:現状にとっても感謝していますが、もっと精力的に活動していきたいなと目標を高く持っています。私の場合、拠点は香港ですが、世界中のクライアントとプロジェクトを進める為、毎回その国の文化背景を学んで深みのある作品にしていき、もっともっとその国のクリエイティビティの根源なども学びたい気持ちでいっぱいです。プロジェクトを通じて新しいアイデアや視点を学ぶのが面白いなと感じています。

私は、現在いくつかのコレクションを発表しているのですが、そのコレクションは私自身のアイデンティティだと思っています。自分自身の記憶や、インティミシーを元に作っています。
クライアントとのプロジェクトは、クライアントの欲しいものをしっかり耳を傾けながら、どんな着眼点を彼らが持っているのか知ることで私のインスピレーションにも繋がります。特に気を配っているのは、「彼らは何を求めているのか」そして、「その求めとるものに自分のアイデンティティをどう加えられるか」のバランスを考えています。
偉大なアーティストたちは、自分自身のアイデンティティを作品などに落とし込んでいると感じます。私が特に好きな女性アーティストは、メタルを使用した質感をうまく表現した作品を作っていたりします。自分と同じ女性という点もとっても背中を押されます。

8月には、また日本でエキシビジョンも行う予定もあるので、楽しみです。



ー 渡航や創作活動に精力的に取り組まれているのかと思いますが、日常的にどのように自分の時間などをとっていますか?

Queenie:正直今はとにかく自分の時間よりも創作活動にフルコミットで時間を注いでいるので、あまり意識的な時間が取れていない現状があります。

毎朝起きてから2杯の水をのみ、夜にお風呂に浸かり良質な睡眠をとる。
当たり前のことかもしれませんが、それが人間の基礎的な身体疲れを取る時間でもあり、何も考えずにリラックス出来る時でもあります。


ー Queeneにとっての klarm timeとは?

Queenie:週に2回は湯船に浸かると決めているのですが、ブレンドクレイを使うタイミングとしても丁度良いんですよね。湯船に浸かる時間に合わせて使うことが多いです。
この時間は、自分を唯一甘やかす時間になっています。

PROFILE

Queenie Chan

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